出張編集部さんで頂いたアドバイスをまとめてみた

出張編集部さんで頂いたアドバイスをまとめるぞ!と口にしてから月日ばかりが流れてしまいましたが、ようやく記事にできました!
プロの編集さんから頂いた貴重なアドバイス、記録として残しておきたいと思います。

はじめに、出張編集部に行ってみたいと思っている方に、1回のイベントで10社に見て頂いた私が1つアドバイスしたいことがあります。
それは、時間が許すのであれば複数社回って意見をもらうことです!

なぜなら、そもそも漫画……というか創作物には数学の公式のような正解はないからです。もちろん技法としてこれを使った方が伝わりやすい、というものはあります。(たとえば、叫んでいるセリフは他のセリフよりも大きくする、動きのあるコマに集中線や動線を入れる、等)そういったものは積極的に取り入れていくべきだとは思いますが、読み手の好き嫌いに左右される部分も少なくありません。

私が10社回った時に実際に頂いた意見がこちら。
A社「コマ割りが単調です。もう少し工夫して欲しい」
B社「コマ割りがシンプルでとても読みやすかったです」

私は変形ゴマやコマを貫通してキャラクターを描くことをほとんどしていません。
なので、A社の編集さんは、全部長方形だし、コマをはみ出したりということもほとんどないから単調だな、と感じたのでしょう。
一方B社の編集さんは、それをシンプルで読みやすいと感じました。
当たり前ですが、プロの編集さんでも真逆の感じ方をするのです。

もし私がA社の編集さんにだけ自分の作品を読んでもらったら、そうか、私のコマ割りはつまらないのか……これは何としても変えていかないといけないな!と思うでしょう。
ですが実際は別の編集さんには読みやすいと褒められましたし、その他の8社の方からコマ割りが単調だという意見はありませんでした。

つまり、10社回れば10分の1しか出なかった意見が1社だけまわった場合1分の1の意見になるので、1つの意見を過剰に気にしてしまう可能性が出てしまうのです。
今回の指摘を受けて、コマ割りについては描いている中でこの部分を変形コマや貫通したら見栄えが良くなるかもと思いつくことがあれば変えてみよう、くらいの改善認識になりました。
幅広い視点からの意見をもらうためにも、ぜひ複数社回ってみてください!

長くなりましたが、ここから私が実際に受けた指摘の中で、すぐに改善できるポイントをいくつかピックアップしてご紹介したいと思います。

ではまず1枚目。

添削画像
堀川くんと清光が現代(20XX年)に初めて降り立ち、自分たちが知っている時代との違いに驚くシーンです。
ここで受けた指摘は、コマの大きさの調整です。
一コマ目は20XX年という説明と背景のコマ。そして二コマ目は人がたくさん行き交うコマ。三コマ目がそれを見た二人のリアクションのコマ。
一コマ目>二コマ目>三コマ目
という大きさの順番になっていますが、ここが改善ポイントです。
基本的に、漫画は大切なコマほど大きく描くのが良いとされています。
大切なコマ、言い換えると読み手が見たいシーンですね。

この三つの中で多くの読み手が一番見たいのは、現代に降り立ったふたりのリアクションだと思います。
ぶっちゃけ一コマ目と二コマ目は状況説明のためのコマなので、状況さえ分かれば小さくても全然問題ないわけです。
なので、三コマ目をもっと大きくして、一コマ目と二コマ目を小さくしましょう、とアドバイスを頂きました。

ちなみになぜ一コマ目を大きくしたのかというとですね……これ、素材貼っただけなんです。二コマ目もモブブラシを使っただけで私が描いた部分は0です。
対して、三コマ目は全部手描きです。
ここまで説明して察した方もおられるかもしれませんが、そうです、描くのがめんどくさかったので素材のコマを大きくして手描きのコマを小さくしてしまったわけです。そんな理由でコマの大きさを割り振るべきではないと、鋭いご指摘を頂きました……!

次、2枚目にいきます。

添削画像
これはですね、1枚目のように素材のコマを大きくしたりはしていません。というか集中線くらいしか素材使っていません。
このページの何が問題なのか、それは決めゴマを二連続続けて同じページに配置していることです。

一コマ目のアップの兼さんが決め台詞を言っているシーンは、もちろん大きく見せたいコマです。
そして、二コマ目の敵を斬る兼さんのシーンもまた、戦いの決着となる部分なので大きく見せたいコマになります。
一ページの中で決めゴマは一つ、ということではないですが、今回の場合この二つのコマはページを分けて配置した方がそれぞれもっと大きく描けてそれぞれの見映えを向上させることができる、というのが頂いたご指摘になります。

この二つのコマを一ページにまとめた理由はですね、ページ数を増やしたくないという心理が働いたためだと思われます。でも、魅せゴマこそ漫画の肝となる部分なので、よりよく見せる方を優先するべきだと思います。わかってはいるんですが……ページ数はあまり増やしたくない。悩ましいですね。笑

はい、3枚目行きましょう。ここからネームになります。絵が雑ですみません……。

添削画像
これは、戦闘時に負傷した堀川くんの腕を兼さんが自分の羽織を破って止血する、というシーンになります。
この指摘の内容は1枚目と同じ、コマの重要度と大きさを連動させる、というものになります。
先ほども説明した通り、基本的には読者が見たいのはキャラクターの反応(感情)>状況説明なのです。
つまり、このページでは兼さんが自らの羽織を破いて自分の手当をしていることに対して、そんな大切なものを僕のために使うなんて……という堀川くんのリアクションこそ大きく見せるべきなのです。
その後の腕をぎゅっと結ぶシーンはその状況さえ伝われば小さくして何ら問題ないので、こちらを小さくしてリアクションのコマを大きくする方が良い、というわけになります。

この三枚から分かることは、魅せゴマは大きくすべしということです。
これだけ指摘されているということは、それくらい常に意識したコマ割りを考えていかなければならないということですね。コマ割りの大切さをたくさん教えて頂きました。

そして最後、4枚目はこちら。

添削画像
このページで指摘されたのは、吹き出しの位置についてです。
読者は①から⑥の順番(赤い矢印で表記)でフキダシを目で追っていくわけですが、このフキダシを置く場所も大事になってくるのです。
①から②、そして②から③は右下から左上へと視線を動かす必要があります。ですが漫画のコマというのは基本的に右から左、もしくは(左)上から(右)下という順番で読み進めるので、この右下から左上というのはその基本的なルールに逆らってしまっているのです。なので、読者がどの順番でフキダシを追っていけばいいのか迷いかねない状態なのです。
このページのコマ割りの場合、青矢印で表記したS字のような形が読みやすいフキダシの流れになります。

これを改善するとしたら、一コマ目の堀川くんをもう少し下に配置して上の方に①と②のフキダシを置けば、青矢印のように視線を誘導することができます。
読みやすさにはフキダシの配置もきちんと考えていかないといけないということは新たな学びでした!

とても長くなってしまいましたが、今回紹介した改善ポイントは以上となります。
他にもたくさん指摘して頂いたポイントはありますが、全部紹介すると途轍もなく長くなってしまうので抜粋させて頂きました。
絵の見せ方や人物の描き方といった技術面の指摘は一朝一夕で改善するのは難しいですが、コマ割りやフキダシはすぐにでも意識して改善することができるポイントなので、これから作る漫画にバッチリ活かしていきたいと思います!

これを無料で受けれるんだから、本当に出張編集部って素晴らしいサービスですよね……!!!お時間を頂いた編集さんたち、本当にありがとうございました!!!!